嘉数中日記第250回   平成30年3月15日

ゆっくりとおとなになりなさい


 学校長式辞     
  本日、宜野湾市長 佐喜眞敦様をはじめ、多数の来賓ならびに保護者の皆さまのご出席をいただき、ここに、第五十六回卒業式を挙行できますことを心より感謝申し上げます。
 ただ今、卒業生一人一人に卒業証書を授与いたしました。皆さんが今、手にした卒業証書は紛れもなく中学校三年間の学習の修了を示す証であるとともに義務教育の終了を意味する大切な証でもあります。
「我慢の川を渡り切れ!」
今日卒業する皆さんへ言い続けた言葉です。中学校時代を流れの激しい「川」に例えて、
「川の向こうに卒業という岸が見える。そこにたどり着く流れはけして緩やかではない。何度も激流にぶつかり、何度も押し戻され、やってもやってもうまくいかない時もある。しかしそんな時は「悩み抜け、苦しみ抜け、うまくいかないからおもしろい、というぐらい強くなれ!」本当の自分に出会うために、「鍛え、磨いて我慢の川を渡り切れ!」と話してきました。
 そして、今日の日を迎えました。戸惑いの新入生から初めて「先輩」と呼ばれた2年生、そして迎えた3年生。振り返る日はそれぞれに違う思いがあると思います。しかしこの3年間、皆さんの成長は本当に素晴らしかった。特に2年生の後半から3年生にかけて学校文化を自分達で作り上げようとするその姿、熱意は、後輩達にも伝わり、学校行事、地区大会、県大会、アジア大会、世界大会へと新たな扉を次々と開いていきました。
 そのきっかけとなったのが9月に開催された中頭地区陸上競技大会でした。この二年連続の最多得票となった応援団賞は選手、応援団が心を一つにして勝ち得た最高の栄冠でした。応援リーダーは、団長仲里駿平君を中心に限られた練習時間の中でより高い完成をめざし、何度も練り直し、時にはお互いぶつかりあいながらも汗だくになって取り組んだ大会でした。その姿は沖縄県総合グラウンドで見事に開花し、参加した中学生総勢1万人にミラクル嘉数として大きな感動を与えました。
 そして選手、応援団、全校生徒一丸となって我慢に耐えて勝ち得た自信は、あらゆる場面で途切れることなく圧倒的なパワー、エネルギーへと成長していきました。
 裏切りではなく励ましてくれた友と、悪口ではなく叱ってくれた友と、たくさんの我慢を乗り越えて、今日、川を渡りきる日がやって来ました。
 乗り越えた我慢の力は、自由の翼となってあなたをどこまでも運んでくれることでしょう。
 八重山石垣島に「月ぬかいしゃ」という有名な歌があります。
 「月ぬかいしゃや 十日三日 みやらびかいしゃや十七つ」
 歌の意味は「月が最も美しいのは十三夜、人が美しいのは17歳」
 たったこれだけです。しかし歌が伝えるのは
 「月が美しいのは、満月の十五夜よりも、それに向かう十三夜が一番美しい、人も大人になったときよりもその途中の17歳が最も美しい」ということです。
 つまり、月も、人も、すべてのものは、完成された時よりも、その完成に向かってひたむきに頑張る姿が最も美しいとこの歌は教えてくれます。
 皆さんは、満月に向かう十三夜、そのものでした。その頑張る姿を自分達で確認し、またそれを支える人たちの優しさにも気づくことができる、心にものさしが育った実りある三年間でした。そのことを誇りに思って下さい。一、二年生の在校生の皆さん、その場所から卒業生の背中をしっかり心に焼き付けて下さい。
 自分と戦い、自分を変えていった先輩達。
 嘉数中学校、地域、みんなの誇りです。
  明日からは自分で選んだ道を自分で進んで行くことになります。
 来週は各種学校の合格発表もあります。
 これからまた新たな激しい川が現われると思いますが、ここで乗り越えて勝ち得た確かな自信を胸に、輝きながら成長し続けて下さい。
 運命は受け止めるもの、そして自分の力で変えていくもの、変えていけるものなのです。
 終わりになりますが、ご来賓の皆様にはご多忙の折、ご出席の上、卒業生を祝福、激励してくださり誠にありがとうございます。地域の一人としての卒業生の成長を今後とも見守っていただき、人生の先輩として、人として歩むべき道をご教示いただきますようお願い申し上げ、学校長式辞と致します。
 卒業生のみなさん「本当に大切なものは、心で見ないと見えてこない」そのことを忘れずに。
 ゆっくりと大人になりなさい。
                   
                        平成三〇年三月十日
                                 宜野湾市立嘉数中学校
                          校長 仲田 丘


 学校長式辞。前日までに原稿を仕上げ、準備していた。卒業式に限らず、学期の始業式、終業式など式辞に関してはいつも全員直立で行っている。この日も写真のように、いつものように始めた。
 しかし、卒業生から届く熱量がいつもと全然違う。直立不動で見つめる姿に「今、思うことを、今、目の前の私たちに話して下さい」と訴えているようで途中から式辞の原稿から離れ、直接向き合って思うままに話していた。
 「月ぬかいしゃ」が空から舞い降りてきた。
 上記の原稿はそれを思い出してまとめてみた。


 

 最後は教えられることのほうが多かった。ありがとう。


 

 

 

 

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