嘉数中日記 第289回(平成29年4月19日)

東日本大震災から6年、熊本地震から1年、被災地、被災者の方々は今なお厳しい状況が続いています。時間が過ぎても忘れてはいけないものがあります。去年6月の校長講話「被災地から学ぶ」で紹介した浅野仁美さんのメッセージ「震災後頑張ったのは、震災の前から頑張っていた子どもだった」を抜粋して紹介します。本当に大切なものは見えないところにある、足下にある、ということを改めて考えさせられます。

浅野仁美さん 
東日本大震災で同市鹿妻南にあった自宅は1階天井まで浸水し、全壊。津波襲来時は、当時小学校5年生の長女と屋根の上に逃げ、間一髪で難を逃れた。自らも娘と共に避難した鹿妻小では、1700人を数えた避難者をまとめるリーダーを務めた。

震災の後頑張ったのは、震災の前から頑張っていた子どもだった

〜略〜
虫の飛び交う体育館にもどって努力した子は、後日高校に合格したと聞いた。
しかし、虫に文句を言い、夜の教室でゲームやマンガに夢中になった生徒は、合格できなかった。
震災が起こる前は、それぞれがそれぞれやり方で積み重ねてきた時間。体育館という一つ屋根の下で一緒に暮らすうちに、それぞれの生活の違い、大きな違いに気がついた。

 

それは、頑張る事の積み重ね。

 

 

人は、案外普通に当たり前のことをするために頑張っているのかもしれない。
そして、私たちは震災ですべてをなくした。本当に何もかも失った。気がつくと、震災の前から頑張っていたことだけが自分の助けになった。

それは子どもにとっては勉強するということ、学ぶということであり、親にとっては子どもの育ちを支える事、きちんと叱って見守る事。頑張ることは、決して特別なことではない。

津波は、私たちが流した海の中のゴミのかたまりを全部、陸の上に返しました。そしてきれいになった海は、前よりも豊かな海になりました。人も、大きな災害に会うと、何かがリセットされるような気がします。

 

生きるということの原点に返る気がします。

 

 

わずかな食事だったり、不便な生活だったり・・・

 そこにありがたさや、幸せを感じてこそ、その後の長い非難生活に耐えられる心が生まれると思います。
私たちも多くの支援をいただき今日まで歩んでこれました。熊本へも精一杯の恩返しをしたいと考えています。
一方で熊本以外の地域の皆さんは、できる備えをしていますか?自分を見つめていますか?ということを厳しく問わなければならないと感じています。私たちが発信したことは何か。
それも、問うていかなければ同じ事が起きてしまいます。

学生である君たちができる最大のボランティアは、今自分がやるべき事をしっかりやることだ
                         池間哲朗氏    2008年嘉数中学校3年生への講演会で